居住者・非居住者のセルフチェックリスト|海外移住・海外在住・帰国で確認する事実と条文
これから海外へ出る方、すでに海外で暮らしている方、これから日本へ帰る方が、税務上の「居住者」「非居住者」の区分に関わる事実を、自分で順番に確認するためのチェックリストです。所得税法上の「住所」は生活の本拠がどこにあるかを客観的な事実で判定するもので、住民票や滞在日数だけで決まるものではありません。ここでは、判定で実際に見られる事実を質問の形に並べ、それぞれがどの条文の話なのかを示します。居住区分そのものを判定するものではありません。
記入した内容はそのまま印刷して控えにできます。自分では決められない点が残ったときは、記入内容をコピーして無料相談フォームに貼り付けてお送りいただくと、初回の面談で同じことを一から確認する時間を省けます。入力内容はこのブラウザの中にだけ残り、当事務所へ自動送信されることはありません。
BASICS
判定の骨格(ここだけ先に読んでください)
居住者・非居住者の区分を確認するときは、主に次の順番で事実を整理します。
- 日本国内に「住所」(生活の本拠)があるかを確認します。住所は住民票の所在地そのものではなく、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況などの客観的な事実から判断します(所得税法2条1項3号、所得税基本通達2-1)。この住所の判断では、所得税法施行令14条・15条の推定規定が関係する場合があります。
- 国内に住所がない場合は、日本国内に現在まで引き続き1年以上の「居所」があるかを確認します(所得税法2条1項3号)。
- 日本の法令と相手国の法令の双方で居住者となる場合は、その国との間に租税条約があれば、条約の規定を確認します。
推定規定と異なる方向を示す客観的な事実がある場合は、その事実を含めて住所を判断します。滞在日数や住民票の手続だけで区分が決まるものではありません。
条文を読む(所得税法施行令15条・14条)
第十五条(国内に住所を有しない者と推定する場合)
国外に居住することとなつた個人が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定する。
一 その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
二 その者が外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと。
2 前項の規定により国内に住所を有しない者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国外に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有しない者と推定する。
第十四条(国内に住所を有する者と推定する場合)
国内に居住することとなつた個人が次の各号のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有する者と推定する。
一 その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること。
二 その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。
2 前項の規定により国内に住所を有する者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国内に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有する者と推定する。
STEP 1
基本情報(いつ・どこ・どのくらい)
日数の集計は不要です。日付や期間はわかる範囲で、おおよそで構いません。
STEP 2
居住区分に関わる事実の確認
それぞれ「はい」「いいえ」「わからない」で答えてください。わからないものは、そのまま「わからない」で構いません(面談で確認します)。税務上の「住所」は生活の本拠がどこにあるかを客観的な事実で総合的に判定するもので、1つの答えだけで決まるものではありません。お答えいただいた内容は、下の「この確認票が関係する規定」で、どの条文の話かの目印になります。
入力状況
回答すると、ここに入力状況が表示されます
この欄に表示するのは入力状況だけです。居住区分の判定は行いません。
この確認票が関係する規定(居住区分の判定ではありません)
- 所得税法2条1項3号・所得税基本通達2-1対象:全員住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠かどうかは客観的事実によって判定するとされています。国内に住所がない場合は、現在まで引き続き1年以上の居所があるかを確認します。関連する設問:A-3〜A-5/B-3・B-4/C-2・C-4・C-5、STEP 1の基本情報
- 所得税法施行令15条1項1号対象:海外へ出る方・海外在住中の方国外に居住することとなった人が、国外において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合に、国内に住所を有しない者と推定する規定です。学術・技芸の習得のため国外に居住する場合は、その習得期間はその地に職業を有するものとして、この推定規定との関係を確認します(所基通3-2)。関連する設問:A-1・A-2/B-1・B-2
- 所得税法施行令15条1項2号対象:海外へ出る方・海外在住中の方外国籍であること、または外国の法令による永住許可を受けていることに加え、国内に生計を一にする配偶者その他の親族がいないことなど、国内における職業や資産の有無等の状況に照らして、再び日本に帰り主として日本に居住すると推測するに足りる事実がない場合に、国内に住所を有しない者と推定する規定です。関連する設問:A-3/B-3、STEP 1の国籍欄・在留資格・ビザ・永住許可の有無の欄、資産に関する欄
- 所得税法施行令15条2項対象:海外へ出る方・海外在住中の方1項により国内に住所を有しないと推定される人と生計を一にする配偶者その他その人の扶養する親族が国外に居住する場合に、これらの人についても同様に推定する規定です。関連する設問:A-3/B-3、STEP 1の家族欄
- 所得税法施行令14条1項1号・2号、同条2項対象:日本へ帰る方学術・技芸の習得のため国内に居住する場合は、その習得期間はその地に職業を有するものとして、この推定規定との関係を確認します(所基通3-2)。国内に居住することとなった人について、国内で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合や、日本国籍を有し、かつ国内に生計を一にする配偶者その他の親族がいることなど、国内における職業・資産の有無等の状況から継続して1年以上居住すると推測するに足りる事実がある場合に、国内に住所を有する者と推定する規定です。関連する設問:C-1・C-2・C-4
- 所得税法2条1項4号(非永住者)対象:日本へ帰る方非永住者は居住者の一類型です。まず居住者に当たるかを確認したうえで、日本国籍の有無と、過去10年以内に国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下かどうかを確認します。関連する設問:STEP 1の国籍欄・過去10年の居住期間欄
- 所得税法161条・212条、租税条約対象:全員非居住者について、日本国内で生じたものとして課税される所得(国内源泉所得)の区分と、その支払者による源泉徴収を定めた規定です。給与、業務委託報酬、役員報酬など、報酬の性質、役務を提供した場所、契約内容によって確認する規定が異なります。滞在日数や役務を提供した場所に応じて、該当する租税条約の規定もあわせて確認します。関連する設問:A-6/B-5、STEP 3の各項目
- 租税条約の居住者に関する規定対象:全員日本と相手国の双方で居住者となる場合に、どちらの国の居住者として取り扱うかを確認する規定です。多くの租税条約では、恒久的住居、人的・経済的関係の中心、常用の住居、国籍、両国当局による協議などを順に確認しますが、具体的な内容は相手国との租税条約によって異なります。関連する設問:A-7・A-8/B-6・B-7/C-6
- 所得税法60条の2(国外転出時課税)対象:海外へ出る方国外転出の時に対象資産の価額等の合計が1億円以上であること、国外転出前10年以内に国内に住所または居所を有していた期間が原則として5年を超えることなどの要件を確認する制度です。対象となる資産は有価証券等のほか、未決済信用取引等や未決済デリバティブ取引も含まれます。関連する設問:STEP 1の資産に関する欄
ここに表示しているのは、お答えいただいた設問がどの規定に関わるかの索引です。居住区分の判定ではありません。実際の区分は、契約書、滞在実績、住居、職業、資産、家族の状況などの資料を確認したうえで判断します。
STEP 3
日本に残るもの・海外に残るもの(そこから生じる論点)
該当するものにチェックを入れてください。ここでは答えではなく、確認することになる論点として表示します。該当するものがなければ、最後の「上記に該当するものはない」を選んでください。
日本に残るものから生じる論点
これらの論点で確認する主な規定は、所得税法161条・212条(国内源泉所得とその支払者による源泉徴収)、所得税法60条の2(国外転出時課税)、国税通則法117条(納税管理人)です。報酬の性質、役務を提供した場所、契約内容によって確認する規定が異なります。内国法人の役員としての勤務に基づく報酬は、国外で勤務した場合でも国内源泉所得となることがあります。
STEP 4
記入内容の使い道
自分で確認する方
「控えを印刷」で、記入内容と上の条文索引をそのまま印刷・保存できます。入力内容が当事務所へ自動で送られることはありません。状況が変わったときは、同じページで確認し直してください。
無料相談を申し込む方
非居住者・海外在住に関する無料相談をお申し込みの方は、この確認票の記入を済ませてからお進みください。判断がつかない項目は「わからない」を選んでいただいて構いません。①「記入内容をコピー」を押す → ②「無料相談を予約」からフォームへ進む → ③フォームの「非居住者 事前確認票」欄に貼り付ける、の順でお送りください。お立場で「海外在住・これから出国される方」を選ぶと、貼り付け欄が表示されます。「ご相談内容詳細」欄には、とくにお聞きになりたいことを2つまでお書きください。
必須項目の入力状況がここに表示されます。
非居住者 事前確認票チェックリスト版 2026-09-21 rev.5
回答状況:未記入
入力内容はお使いのブラウザにのみ保存されます。最後の入力から30日以上経過したデータは、次にこのページを開いたときに削除されます。当事務所のサーバーへ自動的に送信されることはありません。共有のパソコンでは、最後に「すべての入力内容を消去」を押してください。
無料相談では、記入内容をもとに確認が必要な論点と今後の進め方を整理します。居住区分の最終判定、過年度の申告の要否、税額の計算、契約書や租税条約の個別検討は、資料の確認を伴うためご契約後の業務となる場合があります。
NOTES
よくある誤解
- 住民票の転出届を出せば非居住者になる転出届は住民基本台帳の手続です。所得税の住所は、生活の本拠がどこにあるかを客観的な事実によって判定します(所得税基本通達2-1)。
- 1年の半分(183日)を超えて海外にいれば非居住者183日という日数だけで、日本の所得税法上の居住者・非居住者が決まるわけではありません。ただし、相手国の国内法や租税条約の短期滞在者免税などでは、183日という日数が使われる場合があります。
- 当初1年未満の予定が延長になったので、さかのぼって非居住者になる海外勤務や事業の予定期間が後から変更された場合について、国税庁の質疑応答事例では、その変更が明らかになった日以後を見直す取扱いが示されています。
- 推定規定に当てはまればそれで決まる所得税法施行令14条・15条は推定規定です。推定と異なる方向を示す客観的な事実がある場合は、その事実を含めて判断します。
REFERENCE
確認の考え方(根拠)
詳しく見る:居住者・非居住者はどう決まるか
所得税法では、国内に「住所」があるか、または現在まで引き続き1年以上「居所」がある個人を居住者、それ以外を非居住者と定めています。住所は生活の本拠を指し、住居・職業・資産の所在・家族の居住状況などの客観的事実で総合的に判定します。国外において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する人は国内に住所がないものと、逆に国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する人は国内に住所があるものと推定され、契約等で滞在が1年未満と明らかな場合はこの推定が働きません。海外勤務の予定期間が後から変更された場合については、国税庁の質疑応答事例で、その変更が明らかになった時に再判定し、さかのぼって居住区分を変更しない取扱いが示されています。どの国の税務上の居住者になるかは、それぞれの国の国内法で判定します。日本と相手国の国内法上、双方の居住者に当たり、その国との租税条約がある場合は、条約による居住地国の振り分けを確認します。多くの条約では恒久的住居、利害関係の中心、常用の住居、国籍などの順で振り分け、なお決まらない場合は両国当局の協議によることがあります。条約ごとに規定が異なります。居住者となった後は原則として国外で得た所得も日本の課税対象になります。ただし、居住者のうち日本国籍がなく、過去10年以内に日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である人は「非永住者」に該当し、課税される国外源泉所得の範囲が異なります。
FAQ
よくある質問
この確認票の結果で、居住区分が決まりますか
決まりません。このページに表示しているのは、お答えいただいた設問がどの規定に関わるかの索引です。実際の区分は、契約書、滞在実績、住居、職業、資産、家族の状況などの資料を確認したうえで判断します。
すでに海外に何年も住んでいます。今さら日本で何かすることはありますか
日本に不動産・株式・法人・取引先などが残っている場合は、その内容によって日本での申告や源泉徴収の確認が必要になることがあります。保有しているだけで毎年申告が必要とは限らないため、STEP 3で所得の種類と取引内容を整理してください。
住民票を抜けば非居住者になりますか
転出届はそれだけで所得税の居住区分を決めるものではありませんが、住民税や国民健康保険の手続上重要です。滞在期間・職業・家族・住居をあわせて見ます。
複数の国を移動しながら暮らしています
どの国の税務上の居住者になるかは、それぞれの国の国内法で判定します。日本と他国の双方で居住者となり、その国との租税条約がある場合は、条約による居住地国の振り分けを確認します。移動していても生活の本拠が日本にあれば日本の居住者になることがあります。STEP 1の補足欄に移動の予定を書いてください。
入力した内容はどこに保存されますか
お使いのブラウザの中だけです。最後の入力から30日以上経過したデータは、次にこのページを開いたときに削除されます。当事務所に自動で送られることはありません。「記入内容をコピー」を押し、コピーした確認票を無料相談フォームに貼り付けて送信いただくことで、初めて当事務所に届きます。
「住所」と「居所」はどう違いますか
住所は生活の本拠をいい、生活の本拠かどうかは、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況などの客観的事実によって判定します。居所はそこまでの結びつきはないものの現実に居住している場所をいいます。日本に住所がない場合でも、現在まで引き続き1年以上の居所があれば居住者に当たります(所得税法2条1項3号、所得税基本通達2-1)。
推定規定に当てはまれば、それで居住区分は決まりますか
決まりません。所得税法施行令14条・15条は推定規定です。推定と異なる方向を示す客観的な事実がある場合は、その事実を含めて住所を判断します。
いつから区分が変わりますか
住所・居所に関する事情が変わった時点で、居住区分を改めて確認します。例えば、海外勤務の予定期間が後から変更された場合は、その変更が明らかになった日以後について見直し、原則として出国時まで遡って区分を変更しません。具体的な日付は、辞令・契約期間・住居・家族の移動などの資料を確認して判断します。
確認票の内容をコピーし、無料相談フォームの「非居住者 事前確認票」欄に貼り付けてお送りください。居住区分が変わる時期を確認し、その前後で何が変わるかを面談で一緒に整理します。
この記事を書いた人
プロゴ税理士事務所 代表税理士。東京国税局・東京国税不服審判所で15年、税務調査・審理に従事。非居住者課税の相談実務に精通する。大手YouTuberエージェンシーでの実務経験から、フリーランス・インフルエンサー特有の税務にも明るい。その後、IT企業でのプロダクトマネジメントを経て神奈川県川崎市で独立。税務メディアの記事監修も多数手がける。