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非居住者の確定申告と納税管理人【2026年版】|海外から日本の税金を申告・納税する方法

納税管理人について税理士に相談する男性

海外赴任・海外移住をすると、多くの方が最初にぶつかるのが「日本の確定申告はどうすればいいのか」という問題です。

結論から言うと、日本に「納税管理人」を置けば、海外にいながら日本の申告・納税・還付といった税務手続きを進めることができます。逆に、納税管理人を選任しないまま出国すると、申告期限が前倒しになったり、税務署からの書類が届かないまま無申告となったり、納付が遅れて延滞税などの負担が生じたりと、不利益が一方的に積み上がります。

この記事では、元国税調査官の税理士が、納税管理人の仕組みと選任手続き、非居住者の確定申告の典型パターンを解説します。

1. 非居住者でも日本の確定申告が必要になる主なケース

所得税法上の「非居住者」(国内に住所がなく、かつ、引き続いて1年以上居所を有しない方)でも、日本国内に源泉のある所得(国内源泉所得)には日本の所得税がかかります。申告が必要になる典型例は次のとおりです。

ケース 課税の方法 確定申告
国内の不動産を貸している(賃貸収入) 賃借人が法人や、事業用に借りる個人など一定の場合は20.42%の源泉徴収のうえ、総合課税で申告 原則必要(申告により還付になる例が多い)
国内の不動産を売却した 原則10.21%の源泉徴収のうえ、申告分離課税で申告 原則必要
出国後も国内勤務分の給与がある 20.42%の源泉分離(源泉徴収されていない場合は「172条申告」) 源泉徴収済みなら原則不要
日本の法人の役員として引き続き報酬を受け取る 海外で勤務していても原則として全額が国内源泉所得となり、20.42%の源泉徴収(役員は一般の従業員給与と扱いが異なる) 源泉徴収済みなら原則不要
源泉徴収された税額の還付を受けたい 申告により精算 還付申告として提出
国内に事業の拠点(恒久的施設)がある 総合課税 必要

※出国した年は「居住者期間の所得」と「非居住者期間の国内源泉所得」を合わせて申告する必要があり、判断が複雑になりがちです。

▶ 海外在住者の日本の税金の全体像(住民税・社会保険を含む)は、海外在住者の日本の税金 完全ガイドで解説しています。

▶ 会社員・役員の海外赴任に伴う給与の源泉徴収と出国時の手続きは、海外赴任・海外出向の給与と源泉徴収【2026年版】もあわせてご覧ください。

2. 納税管理人とは——海外にいる間の「日本の税務窓口」

納税管理人とは、海外に住む納税者に代わって日本での税務手続きを行う人のことです(国税通則法117条)。具体的には、次のような役割を担います。

申告

確定申告書の提出

受領

税務署から送られてくる書類(通知書・照会文書など)の受け取り

納付・還付

税金の納付、還付金の受領

あなた海外在住の納税者

納税管理人日本側の税務窓口(税理士なら申告まで一本化できます)

税務署申告・納付・還付・通知

納税管理人には、日本国内に住所(または居所)のある個人や、国内に本店等のある法人がなることができます。ご家族・知人でも構いませんし、特別な資格も不要です。

ただし実務上は、税理士に依頼するケースが多くなります。理由はシンプルで、納税管理人はあくまで「窓口」であり、申告書の作成そのものは税理士でなければ業務として行えないためです。ご家族を納税管理人にしても、申告書の作成・税務判断は結局別途必要になります。窓口と申告をまとめて税理士に任せれば、時差のある海外とのやり取りも一度で済みます。

3. 納税管理人を選任しないとどうなるか

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選任しないまま出国すると、こんな不利益があります

  • 申告期限が前倒しになる:年の途中で出国する場合、納税管理人の届出をせずに出国するときは、出国の時までに確定申告と納税を済ませる必要があります。届出をしておけば、通常の申告期限(翌年3月15日)まで申告できます。
  • 税務署からの書類が届かない:納付書や通知が受け取れず、気づかないうちに無申告加算税・延滞税が積み上がるリスクがあります。
  • 還付が受け取れない:還付金の受取口座の問題で、本来戻るはずの税金を受け取り損ねることがあります。
  • 税務当局側から指定される制度がある:2022年からは、一定の場合に税務署長が「特定納税管理人」を指定できる制度も設けられています。

4. 納税管理人の選任手続き——届出書の出し方

手続きはシンプルで、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を納税地の所轄税務署に提出するだけです。費用はかかりません。

提出する書類 「所得税・消費税の納税管理人の届出書」(費用はかかりません)
提出先 出国直前の納税地(原則として日本での最後の住所地)を所轄する税務署
いつまでに 出国日までに提出するのが原則(出国後でも提出は可能ですが、申告期限の前倒しの問題が生じます)
誰が出す 納税者本人(出国後は納税管理人経由で提出可能)
提出方法 税務署窓口・郵送・e-Tax(利用には要件があります)
帰国したら 解任の届出を提出します

5. 非居住者の確定申告——実務でつまずきやすいポイント

  • 不動産賃貸の源泉徴収:賃借人が法人や事業者の場合、家賃から20.42%が源泉徴収されます。必要経費を差し引いて申告すると還付になるケースが多く、申告しないと払い過ぎのままです。なお、賃借人が個人で自分や親族の居住用に借りている場合は源泉徴収は不要です。
  • 不動産売却の源泉徴収:売買代金の10.21%が源泉徴収されるのが原則です(一定の少額・居住用の例外あり)。譲渡所得の申告で精算します。
  • 住民税:翌年1月1日時点で日本に住所がなければ、原則その年度の住民税はかかりません。出国のタイミングで負担が変わります。
  • 所得控除の制限:非居住者期間については、適用できる所得控除が雑損控除・寄附金控除・基礎控除に原則限られます。居住者のときに使えていた生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・配偶者控除・扶養控除などは原則として適用できないため、同じ感覚で計算すると誤ります。
  • 還付口座:還付金の受け取りは日本国内の口座が基本です。本人名義の口座がない場合は、納税管理人が代わって受領する方法が使われます。

▶ 海外への送金や支払いにかかる源泉徴収の実務は、海外送金・源泉徴収の税務サポートをご覧ください。

6. 当事務所にお任せいただけること

プロゴ税理士事務所では、納税管理人の就任と非居住者の確定申告を、オンラインで完結する形でお受けしています。

  • 納税管理人の就任・届出書の作成提出
  • 毎年の確定申告(不動産所得・譲渡所得・還付申告など)
  • 税務署からの書類の受領・対応、納付・還付の代行
  • 出国前の税務整理(出国年の申告、住民税・社会保険の整理)

元国税調査官の税理士が直接担当します。時差があっても、メール・オンライン面談で完結しますので、海外からでも安心してご相談ください。

7. よくある質問

Q家族を納税管理人にするのと、税理士に頼むのは何が違いますか?

A納税管理人自体はご家族でもなれます。ただし申告書の作成や税務判断は税理士業務なので、ご家族が窓口になっても申告は別途手当てが必要です。窓口と申告を一本化できるのが税理士に依頼するメリットです。

Qすでに出国してしまいました。今からでも間に合いますか?

A間に合います。納税管理人の届出は出国後でも提出でき、過去分の申告が漏れている場合も、さかのぼって申告することで加算税等の負担を最小限に抑えられる可能性があります。放置期間が延びるほど不利になるので、早めのご相談をおすすめします。

Q費用はどのくらいかかりますか?

A所得の内容(不動産の件数、売却の有無など)により異なるため、初回の無料相談で状況を伺ったうえでお見積りします。

Q日本の銀行口座を解約してしまいました。還付金は受け取れますか?

A受け取れます。納税管理人が納税者に代わって還付金を受領し、精算する形が取れます。

Q海外から日本の証券口座や暗号資産の利益はどうなりますか?

A口座の種類や所得の性質によって取り扱いが変わる論点です。出国前の手続き(出国時課税を含む)と合わせて、個別にご相談ください。

海外在住・海外赴任中の日本の税務は、時差があってもオンラインで完結します。
「うちの場合はどうなる?」という段階で大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

プロゴ税理士事務所 税理士。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の経験からの複眼的な視点が強み。

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