法人成りの分岐点 早見表【令和8年・2026年】|事業の利益と役員報酬でわかる税・社会保険料の差

法人成りの分岐点 早見表|プロゴ早見帳
個人事業のままでいるか、法人成りするか。その答えは事業の利益だけでなく、法人から自分にいくら役員報酬を払うかで変わります。この早見表は、事業の利益(売上−経費)と役員報酬の月額の組み合わせごとに、個人事業のままと比べて税金と社会保険料の年間合計がいくら変わるかを一覧にしたものです。計算は法人成りシミュレーターと同じで、令和8年分の所得税、令和9年度の住民税、令和8年度の社会保険料率で試算しています。東京23区・40歳未満の場合、利益のほぼ全額を役員報酬で受け取るなら利益1,300万円前後から、報酬を月50万円にして残りを会社に残すなら利益800万円前後から、法人成りのほうが税金と社会保険料の合計が少なくなります。

Assumptions

目次

試算の前提(令和8年分・東京23区・単身)

  • 個人事業のまま:事業の利益から青色申告特別控除65万円を引いた事業所得に、所得税(復興特別所得税込み)・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料・個人事業税がかかるものとして計算しています。国民健康保険は東京23区の統一保険料率・単身世帯の標準ケース(軽減措置なし)、個人事業税は事業主控除290万円・税率5%の業種です。
  • 法人成り:同じ利益を法人が受け取り、本人に毎月同額の役員報酬を払います(賞与なし・配偶者への役員報酬なし)。社会保険は協会けんぽ東京支部の令和8年度料率と厚生年金・子ども・子育て拠出金、法人は東京23区の中小法人(資本金1,000万円以下)として、法人税・地方法人税・法人事業税・特別法人事業税・法人住民税(均等割年7万円を含む)を計算しています。役員報酬には本人の所得税・住民税がかかります。
  • 税制:所得税は令和8年分(基礎控除・給与所得控除の令和8・9年分の上乗せを反映)、住民税は令和8年の所得に対する令和9年度分で、均等割と森林環境税の年5,000円を含みます。
  • 差額の出し方:「個人事業のままの税・社会保険料の合計」から「法人成りの税・社会保険料の合計(本人負担と会社負担の社会保険料、本人の所得税・住民税、法人税等)」を引いた額です。プラスなら法人成りのほうが負担が軽くなります。
  • 会社に残るお金:役員報酬と会社負担の社会保険料、法人税等を払ったあとに会社に残るお金も、手取りに含めて比べています(シミュレーターと同じ考え方)。表の金額は万円未満を四捨五入しています。

▶ 売上・経費・役員報酬を自分の数字で入れて、明細まで確かめたい場合は法人成りシミュレーター(令和8年版)で計算できます。

Quick Reference

法人成りの分岐点 早見表(40歳未満・介護保険なし)

行は事業の利益、列は法人成りしたあとに本人へ払う役員報酬の月額です。マスの数字は、個人事業のままと比べた税金と社会保険料の年間の差(万円)で、+は法人成りのほうが軽く、−は個人事業のままのほうが軽いことを示します。色の濃いマスが、その報酬で法人成りが有利に変わる行(分岐点)です。薄いグレーの数字は、役員報酬と会社負担の社会保険料が利益を上回り、会社が赤字になる組み合わせです。報酬を払うには、別にお金を会社へ入れる必要があります。この赤字は青色申告なら翌年以降に繰り越して法人税等を減らせますが、表は1年分だけで比べています。

法人成りの分岐点 早見表(40歳未満・令和8年分・東京23区・青色申告特別控除65万円・配偶者への報酬なし)。数字は個人事業のままとの年間の差(万円)
事業の利益(売上−経費・年) 個人事業のまま(税・社保の合計・年) 法人成り後に本人へ払う役員報酬(月額) 全額を報酬(利益を使い切る額)
20万円 30万円 40万円 50万円 60万円 70万円 80万円 90万円 100万円 120万円
400万円 97万 −15 −33 −83 −129 −185 −242 −287 −333 −383 −501 −26月29万
500万円 129万 −4 −19 −50 −96 −153 −209 −255 −301 −351 −469 −29月36万
600万円 173万 +18 +3 −17 −53 −109 −166 −211 −257 −308 −425 −22月44万
700万円 215万 +39 +24 +4 −13 −67 −123 −169 −215 −265 −382 −12月51万
800万円 259万 +60 +46 +27 +10 −23 −79 −125 −171 −221 −339 −16月58万
900万円 302万 +80 +67 +48 +31 +3 −37 −82 −128 −178 −296 −16月66万
1,000万円 343万 +98 +85 +67 +51 +23 −5 −41 −87 −137 −255 −13月73万
1,100万円 382万 +113 +100 +83 +68 +40 +12 −6 −48 −99 −216 −11月81万
1,200万円 426万 +127 +121 +104 +89 +63 +35 +16 −4 −55 −172 −2月89万
1,300万円 474万 +143 +144 +130 +115 +90 +63 +44 +25 −6 −123 +5月97万
1,400万円 523万 +158 +159 +155 +141 +115 +90 +71 +52 +29 −75 +17月105万
1,500万円 572万 +174 +175 +171 +166 +141 +115 +99 +79 +56 −26 +16月113万
1,600万円 621万 +189 +190 +187 +186 +167 +141 +124 +107 +83 +20 +17月121万
1,800万円 718万 +220 +221 +218 +217 +206 +193 +176 +159 +138 +75 +15月137万
2,000万円 815万 +251 +252 +249 +248 +237 +225 +221 +210 +189 +130 +25月153万
2,500万円 1,104万 +373 +374 +370 +370 +358 +346 +343 +338 +330 +297 +86月195万
3,000万円 1,396万 +498 +500 +496 +496 +484 +472 +468 +464 +456 +423 +98月237万

※ 「全額を報酬」の列の下段は、その利益で払える役員報酬の月額(会社負担の社会保険料を含めて利益を使い切る額)。差額には会社に残るお金も含みます。

詳しく見る:会社に残るお金(法人税等を払ったあと・40歳未満)

上の表の差額には、役員報酬と会社負担の社会保険料、法人税等を払ったあとに会社に残るお金が含まれています。報酬を低くした列ほど差額が大きく見えるのは、このお金が増えるためです。たとえば利益1,000万円で報酬を月20万円にすると差額は+98万円ですが、そのうち約558万円は会社の中に残っていて、個人で使うには報酬・配当・退職金などとして受け取る必要があります。薄いグレーのマイナスは会社が赤字になる組み合わせで、赤字の額に法人住民税の均等割(年7万円)を加えた、会社からの持ち出しです。

会社に残るお金(40歳未満・法人税等を払ったあと・万円)
事業の利益(売上−経費・年) 役員報酬(月額)
20万円 30万円 40万円 50万円 60万円 70万円 80万円 90万円 100万円 120万円
400万円 91万 −19万 −159万 −294万 −430万 −564万 −689万 −814万 −940万 −1,194万
500万円 170万 62万 −59万 −194万 −330万 −464万 −589万 −714万 −840万 −1,094万
600万円 249万 141万 31万 −94万 −230万 −364万 −489万 −614万 −740万 −994万
700万円 328万 219万 110万 3万 −130万 −264万 −389万 −514万 −640万 −894万
800万円 405万 298万 189万 82万 −30万 −164万 −289万 −414万 −540万 −794万
900万円 481万 376万 267万 160万 54万 −64万 −189万 −314万 −440万 −694万
1,000万円 558万 453万 345万 239万 132万 27万 −89万 −214万 −340万 −594万
1,100万円 636万 530万 422万 318万 211万 105万 7万 −114万 −240万 −494万
1,200万円 705万 607万 499万 395万 290万 184万 86万 −14万 −140万 −394万
1,300万円 772万 680万 576万 472万 367万 263万 165万 66万 −40万 −294万
1,400万円 839万 747万 654万 549万 444万 341万 243万 145万 45万 −194万
1,500万円 905万 814万 721万 626万 521万 418万 322万 223万 124万 −94万
1,600万円 972万 880万 788万 697万 598万 495万 399万 302万 203万 3万
1,800万円 1,106万 1,014万 921万 830万 740万 649万 553万 456万 359万 160万
2,000万円 1,239万 1,147万 1,054万 964万 873万 784万 701万 610万 513万 318万
2,500万円 1,573万 1,481万 1,388万 1,298万 1,207万 1,118万 1,034万 951万 866万 697万
3,000万円 1,906万 1,815万 1,722万 1,631万 1,541万 1,451万 1,368万 1,284万 1,200万 1,031万

Quick Reference

法人成りの分岐点 早見表(40〜64歳・介護保険あり)

40〜64歳は、個人事業のままなら国民健康保険の介護分が、法人成りなら健康保険の介護保険料が加わります。どちらにもかかるため、差額が動くのは多くのマスで数万円(最大で約9万円)で、分岐点の行は月20万円の列が1行早まるほかは40歳未満と同じです。

法人成りの分岐点 早見表(40〜64歳・令和8年分・東京23区・青色申告特別控除65万円・配偶者への報酬なし)。数字は個人事業のままとの年間の差(万円)
事業の利益(売上−経費・年) 個人事業のまま(税・社保の合計・年) 法人成り後に本人へ払う役員報酬(月額) 全額を報酬(利益を使い切る額)
20万円 30万円 40万円 50万円 60万円 70万円 80万円 90万円 100万円 120万円
400万円 104万 −11 −31 −83 −130 −187 −246 −293 −340 −392 −512 −23月29万
500万円 138万 +2 −15 −49 −96 −154 −212 −259 −306 −358 −478 −26月36万
600万円 182万 +24 +7 −14 −52 −110 −168 −215 −262 −314 −434 −20月43万
700万円 227万 +47 +30 +9 −9 −65 −124 −171 −218 −269 −390 −9月51万
800万円 271万 +69 +54 +32 +14 −21 −79 −126 −173 −225 −345 −13月58万
900万円 314万 +88 +74 +53 +35 +7 −37 −83 −131 −182 −302 −13月65万
1,000万円 354万 +106 +91 +72 +54 +26 −4 −43 −90 −142 −262 −8月73万
1,100万円 393万 +121 +107 +88 +72 +43 +13 −7 −52 −103 −223 −7月81万
1,200万円 435万 +134 +126 +107 +91 +64 +35 +15 −9 −61 −181 −4月89万
1,300万円 484万 +149 +149 +133 +117 +91 +62 +42 +22 −12 −132 +2月96万
1,400万円 533万 +165 +164 +159 +143 +117 +89 +69 +49 +24 −84 +13月104万
1,500万円 581万 +180 +180 +175 +168 +142 +115 +97 +76 +52 −35 +13月112万
1,600万円 630万 +196 +195 +190 +189 +168 +141 +123 +104 +79 +14 +14月120万
1,800万円 727万 +226 +226 +221 +219 +207 +192 +174 +156 +133 +68 +9月136万
2,000万円 825万 +257 +257 +252 +250 +238 +225 +220 +207 +185 +123 +19月152万
2,500万円 1,112万 +378 +378 +373 +371 +359 +345 +340 +335 +326 +291 +81月194万
3,000万円 1,404万 +503 +504 +499 +497 +485 +471 +466 +461 +452 +417 +93月236万

※ 介護保険料は、協会けんぽ・国民健康保険とも、40歳の誕生日の前日が属する月の分から加わります。

3 Points

分岐点は役員報酬の決め方で動く:表の読み方3つ

同じ利益でも、役員報酬をいくらにするかで結論が入れ替わります。利益1,000万円なら、利益のほぼ全額を報酬で受け取ると個人事業のままのほうが13万円軽く、報酬を月20万円に抑えると法人成りのほうが98万円軽くなります。

法人成りが有利になり始める事業の利益40歳未満・東京23区・令和8年分/縦軸=事業の利益(売上−経費・年)600万800万1,000万1,200万1,400万600万月20万600万月30万700万月40万800万月50万900万月60万1,100万月70万1,200万月80万1,300万全額を報酬法人から本人に払う役員報酬(月額)

100万円刻みの表で、差額がプラスに変わる行をつないだもの。月60万円は利益800万円では報酬を払いきれないため、払える最初の行(900万円)で有利になっています

① 利益のほぼ全額を報酬で受け取ると、分岐点は利益1,300万円前後

法人成りの主な利点は、役員報酬に給与所得控除(最大195万円)が使えることと、個人事業税がかからなくなることです。一方で、健康保険と厚生年金の保険料は本人負担と会社負担を合わせて報酬のおよそ3割(標準報酬月額の上限まで)かかります。利益を全部報酬で受け取ると社会保険料の重さが上回りやすく、この前提では利益1,200万円までは個人事業のままのほうが軽くなります。

② 報酬を抑えて会社に残すほど、分岐点は下がる

会社に残した利益には社会保険料がかからず、法人税等(中小法人の軽減税率)だけがかかります。報酬を月50万円にすると利益800万円、月30万円なら利益600万円前後から法人成りが有利になります。報酬をかなり低くして社会保険料を抑える考え方はマイクロ法人の設立ガイドで取り上げています。

③ 会社に残したお金を受け取るときにも税金がかかる

表の差額は、会社に残ったお金も手取りとして数えています。このお金を個人で使うには、翌期以降の役員報酬、配当、退職金などとして受け取る必要があり、そのときに所得税・住民税がかかります。退職金は退職所得控除を引いた残りの2分の1に課税されますが、役員としての勤続年数が5年以下の場合は2分の1になりません。役員退職金の手取りの目安は役員退職金の早見表で引けます。

Beyond the Table

この表に入っていない、でも判断を左右すること

早見表は税金と社会保険料の差だけを比べています。実際に法人成りするかどうかは、次の点を合わせて決まります。

  • 法人だから使える手段:役員社宅(会社が借りた住宅を役員に貸す)、出張旅費規程にもとづく日当、役員退職金など、法人にすると使える手段があり、差額はこの表より広がることがあります。社宅の家賃の決め方は役員社宅の賃貸料相当額の解説と役員社宅シミュレーターで確かめられます。
  • 消費税:法人成りのタイミングやインボイス登録の有無で、課税事業者になるかどうかが変わります。
  • 社会保険:法人は社長1人でも原則として健康保険・厚生年金に加入します。保険料が増える一方で、将来の厚生年金にも反映されます。
  • 役員報酬を決める期限:事業年度開始の日から3か月以内に決め、その年度は原則として毎月同額にします(定期同額給与)。手取りから報酬を逆算するなら役員報酬の手取り逆算シミュレーターが使えます。
  • 設立と維持の費用:登記の費用、税理士報酬、社会保険の手続きなど、法人を持つための費用は表に含めていません。
  • 個人事業税がかからない業種:個人事業のままの負担が表より軽くなるため、分岐点は表より上がります。
  • 配偶者への役員報酬:家族に報酬を払って所得を分けると結果が変わります。シミュレーターで配偶者の報酬を入れて試算できます。
詳しく見る:東京23区以外にお住まいの場合

地域で変わるのは主に、協会けんぽの健康保険料率(都道府県ごと)、国民健康保険料(市区町村ごと)、住民税の均等割(神奈川県の水源環境保全税などの上乗せ)です。国民健康保険料は市区町村によって料率や上限の構成が違うため、個人事業のままの負担は数万円前後することがあります。差額が大きいマスでは有利・不利が入れ替わることはほとんどありませんが、分岐点のすぐ近く(差額が±10万円程度)のマスは、お住まいの地域の料率で確かめてください。法人事業税・法人住民税は中小法人の標準的な税率で計算しています。

▶ 税額以外の判断材料は、法人成りの判断基準と18のチェックリストにまとめています。

FAQ

よくある質問

利益がいくらになったら法人成りを考えればいいですか?
役員報酬の取り方で変わります。この早見表の前提(東京23区・40歳未満・令和8年分)では、利益のほぼ全額を役員報酬で受け取るなら利益1,300万円前後から、報酬を月50万円にして残りを会社に残すなら利益800万円前後から、法人成りのほうが税金と社会保険料の合計が少なくなります。消費税や設立・維持の費用などは含んでいないため、実際の判断ではそれらも合わせて考える必要があります。
表の差額には、会社に残したお金も入っていますか?
入っています。役員報酬と会社負担の社会保険料、法人税等を払ったあとに会社に残るお金も手取りに含めて比べています。このお金を個人で使うときは、役員報酬・配当・退職金などとして受け取り、その時点で所得税・住民税がかかります。報酬を低くした列ほど差額が大きく見えるのはこのためで、会社に残る金額は表の下の「詳しく見る」で確認できます。
役員報酬はいつ、どうやって決めますか?
原則として事業年度開始の日から3か月以内に決め、その事業年度は毎月同額で支払います(定期同額給与)。年度の途中で増やしたり減らしたりすると、その差額が法人の経費(損金)にならないことがあります。生活に必要な手取りから逆算し、会社に残すお金との配分を決めておくのが実務的です。
40歳以上だと結果は変わりますか?
介護保険料が個人事業のまま(国民健康保険の介護分)と法人成り(健康保険の介護保険料)の両方に加わります。差額は多くのマスで数万円、最大で約9万円動きますが、分岐点の行は月20万円の列が1行早まるほかは40歳未満と同じです。40〜64歳の表を参照してください。
役員報酬をかなり低くすると、なぜ差額が大きくなるのですか?
会社に残した利益には社会保険料がかからず、法人税等だけがかかるためです。ただし差額のうち多くは会社の中に残っているお金で、個人で使うにはもう一度税金がかかります。社会保険料が少ない分だけ、将来受け取る厚生年金も少なくなります。

▶ 会社設立・法人成りの手続きから経理の立ち上げまでの支援内容は、会社設立・開業支援のページにまとめています。

表で自分の行と列が見えたら、次に決めるのは役員報酬の額と法人化の時期です。どちらも決めたあとに変えにくく、消費税や社会保険の切り替えとも関わります。元国税調査官の税理士が、この表とシミュレーターの数字をもとに、決める順番を一緒に整理します。初回相談は無料、オンラインでも承ります。

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この記事を書いた人

プロゴ税理士事務所 代表税理士。東京国税局・東京国税不服審判所で15年、税務調査・審理に従事。非居住者課税の相談実務に精通する。大手YouTuberエージェンシーでの実務経験から、フリーランス・インフルエンサー特有の税務にも明るい。その後、IT企業でのプロダクトマネジメントを経て神奈川県川崎市で独立。税務メディアの記事監修も多数手がける。

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