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起業家・スタートアップの税金対策完全ガイド【2026年版】|会社設立・届出・消費税インボイスまで元国税調査官が解説

2025.05.16
ノートパソコンで起業準備をする手元

事業計画や資金調達と並んで、起業家が避けて通れないのが「税金」の問題です。税金は適切に対応しなければ大きな負担になりますが、起業初期の向き合い方ひとつで、その後の手取り・資金繰り・成長スピードが大きく変わります

この記事では、個人事業か法人かの選択から、会社設立の実務、設立後の届出、消費税・インボイスへの対応、バックオフィスの作り方まで、起業家・スタートアップが押さえるべき税金対策の全体像を、2026年7月時点の制度にもとづいて解説します。

この記事でわかること

  • 個人事業と法人、どちらで始めるべきかの判断軸(税金・社会保険・信用力)
  • 会社設立前に決めておくべき6つの設計ポイント(資本金・決算期・事業目的など)
  • 設立後の届出リストと期限——特に青色申告の承認申請は取り返しがつかない
  • 消費税・インボイス制度への対応と、会計体制の作り方

起業したら、どんな税金を・いつ払うのか——まず全体像

起業して最初に戸惑うのが「どの税金を・いつ・どこに払うのか」です。個人事業と法人では税目も納付時期も変わります。細かい判断に入る前に、まず早見表で全体像をつかんでください。

法人を設立した場合

税目 納付時期(原則) ポイント
法人税・地方法人税 決算日から2ヶ月以内 利益(所得)に課税
法人住民税 決算日から2ヶ月以内 赤字でも均等割(年約7万円〜)
法人事業税・特別法人事業税 決算日から2ヶ月以内 所得に課税
消費税 決算日から2ヶ月以内 課税・免税の判定は4章参照
源泉所得税 原則翌月10日(納期の特例で年2回) 給与・士業報酬等から天引きして納付
償却資産税 1月末までに申告 1月1日時点の事業用資産に課税

個人事業の場合

税目 納付時期(原則) ポイント
所得税(復興特別所得税を含む) 翌年3月15日 確定申告で納付
住民税 翌年6月から原則4回 前年の所得に課税
個人事業税 8月・11月 事業所得290万円超の部分に課税(業種による)
消費税 翌年3月31日 課税・免税の判定は4章参照
源泉所得税(人を雇う場合) 原則翌月10日(納期の特例で年2回) 給与から天引きして納付

※納付時期は原則です。事業年度の途中で中間申告・予定納税が入る場合があります。

1. 「個人事業」と「法人」どちらを選ぶべきか

起業を考え始めたとき、最初に直面する分かれ道です。それぞれの特徴を整理します。

項目 個人事業主 法人
開始手続き 開業届の提出のみ・費用ほぼゼロ 定款作成・登記が必要(合同会社 約7万円〜/株式会社 約20万円〜)
責任 無限責任(私財まで及ぶ) 原則、出資額を限度とする有限責任
税金 所得税(累進課税・最高45%) 法人税(中小法人は所得800万円以下15%)+役員報酬は給与所得控除の対象
赤字の繰越 3年(青色申告) 10年
社会保険 国民健康保険・国民年金(所得に応じ増加) 健康保険・厚生年金に強制加入(役員報酬基準)
信用力 取引・融資でやや不利な場合あり 高い(法人限定の取引・補助金も)

目安として、事業所得が500〜600万円を超えるあたりから法人化の税メリットが出やすくなりますが、社会保険料まで含めた損益分岐は人によって大きく異なります。役員報酬・法人成り税額シミュレーション(無料)でご自身の数字で確認するのが確実です。

▶ 個人事業を残したまま小さな法人を併用する選択肢はマイクロ法人設立ガイドで解説しています。

2. 会社設立前に決める6つの設計ポイント

設立書類は後から直せますが、ここで挙げる項目は後から変えるとお金と手間がかかるものばかりです。登記前に設計しておきましょう。

会社形態(株式会社/合同会社):信用力・資金調達なら株式会社、コストとスピードなら合同会社。少人数・IPO未想定なら合同会社で十分なケースが多数です。

資本金:1円から設立可能ですが、初期の運転資金と信用面から100万〜300万円程度が実務的。1,000万円以上にすると設立初年度から消費税の課税事業者になるため、境目に注意。

本店所在地:ビル名・部屋番号まで登記すると、移転のたびに変更登記(登録免許税数万円)が必要に。地番までの登記にとどめる方法も検討を。

事業目的:将来やる可能性のある事業まで幅広く記載しつつ、許認可事業(建設・人材・古物など)は要件を満たす文言を明確に。

決算期:3月決算にこだわる必要はありません。繁忙期と決算作業が重ならないか、設立日から初年度が短くなりすぎないかで設計します。

役員報酬の方針:設立後3ヶ月以内に決めた額は原則1年間変えられません(定期同額給与)。初年度の利益計画とセットで決めます。

▶ 川崎市で設立する方は、特定創業支援等事業の活用で登録免許税が半額(株式会社7.5万円・合同会社3万円)になります。設立の証明書取得が条件のため、スケジュールに組み込んでください。

3. 設立後の届出——期限厳守リスト

設立登記が終わっても、税務・社会保険の届出が残っています。主なものと期限を整理します。

提出先 書類 期限
税務署 法人設立届出書 設立から2ヶ月以内
税務署 青色申告の承認申請書 設立から3ヶ月以内と最初の事業年度終了日の、いずれか早い日の前日まで
税務署 給与支払事務所等の開設届出書 開設から1ヶ月以内
税務署 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 随時(承認月の翌月支給分から適用・給与人員10人未満)
都道府県・市区町村 法人設立届出書 自治体の条例による(15日〜1ヶ月以内など)
年金事務所 健康保険・厚生年金の新規適用届/資格取得届 事実発生から5日以内
労基署・ハローワーク 労働保険・雇用保険の各届出 従業員を雇用したとき(10日以内等)
元国税調査官の視点

この中で最も痛いのが青色申告の承認申請の失念です。期限を1日でも過ぎると初年度は白色申告となり、創業初年度に出やすい赤字を翌期以降に繰り越せません(青色なら10年繰越)。数百万円の赤字を切り捨てた例を、私は実際に見てきました。設立登記が終わったその足で税務署への届出まで済ませる——これを強くおすすめします。

4. 消費税とインボイス——「いつから課税事業者になるか」を把握する

消費税の納税義務は、原則として基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかで判定します。設立初年度・2年目は基準期間がないため原則免税ですが、次の場合は例外です。

01

資本金1,000万円以上

設立初年度から課税事業者になります。資本金の設定時点で決まってしまうため、設立設計の段階で要確認です。

02

特定期間の売上・給与

前事業年度開始から6ヶ月間の課税売上高と給与支払額がいずれも1,000万円を超えると、2年目から課税事業者になります。

03

インボイス登録

適格請求書発行事業者に登録すると、売上規模にかかわらず課税事業者になります。取引先が事業者中心(BtoB)の場合、登録を求められるのが実情です。

「免税期間をフルに使う」戦略は、インボイス制度によりBtoB事業では取りにくくなりました。取引先の構成を踏まえて、登録するか・いつから登録するかを設立前に決めておくと、価格設定や資金繰りの見通しが立てやすくなります。簡易課税や2割特例など負担を抑える選択肢もあるため、判定を含めて早めに税理士へ確認してください。

5. バックオフィスは「最初の設計」がすべて——クラウド会計のすすめ

創業期に経理専任者を置ける会社はまれです。クラウド会計ソフト(マネーフォワード クラウド、freee等)を使えば、銀行口座・クレジットカードの明細を自動取込みして仕訳を自動提案させ、経営数字をリアルタイムで見られる体制を低コストで作れます。税理士とのデータ共有も容易になり、月次の締めが速くなる=資金繰りと納税の見通しが早く立つのが最大の価値です。

▶ 当事務所では創業期のマネーフォワード自計化支援を行っています。

6. 税理士は「申告の外注先」ではなく経営の羅針盤

税法は毎年改正され、誤りや手続き漏れは追徴課税・加算税に直結します。創業期に税理士と組む価値は、申告書の作成そのものより、役員報酬の設計、納税予測と資金繰り、融資・補助金への対応、そして税務調査に耐える帳簿づくりを最初から仕込めることにあります。あとから直すより、最初に正しく作る方が、費用も時間も圧倒的に小さく済みます。

▶ 創業融資の準備は日本政策金融公庫の創業融資ガイドを、顧問料の目安は料金表をご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度は改正されることがあり、個別の状況により最適な選択は異なります。実行前に必ず個別にご相談ください。

創業期の税金対策は、最初の設計で差がつきます。元国税調査官の税理士に、初回無料でご相談いただけます。

プロゴ税理士事務所 税理士。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の経験からの複眼的な視点が強み。

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