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中小企業の黒字割合は約38%|業種別の統計と、赤字の年・黒字の年にやるべきこと【元国税調査官が解説】

2026.07.11
業績データをスクリーンに映して共有する社内会議

「うちは赤字だけど、他の会社はどうなんだろう」——決算のたびに、そう感じる経営者は少なくありません。実は、この問いにも公的な答えがあります。国税庁が毎年公表している「会社標本調査」です。この記事では、令和6年度分の統計から中小企業(資本金1,000万円以下)の黒字法人の割合を業種別に紹介し、赤字の年・黒字の年それぞれに何を考えるべきかを、元国税調査官の税理士が解説します。

中小企業の黒字割合は約38%——6割は赤字

国税庁「会社標本調査(令和6年度分)」によると、資本金1,000万円以下の法人のうち、黒字(利益計上法人)の割合は全業種で約37.7%。つまり、統計上は約6割の会社が赤字(欠損法人)です。業種別に見ると次のとおりです。

業種 黒字法人の割合 黒字法人の平均申告所得
不動産業 46.7% 1,406万円
建設業 39.2% 998万円
卸売業 38.6% 2,029万円
サービス業 38.4% 1,467万円
運輸・通信業 37.5% 1,763万円
小売業 32.4% 1,404万円
料理・飲食業 27.5% 1,318万円
全業種 37.7% 1,498万円

出典:国税庁「会社標本調査(令和6年度分)」第2表より当事務所作成。資本金1,000万円以下の法人の集計です。

業種によって差はありますが、どの業種でも赤字の会社の方が多数派です。「赤字=経営失格」ではまったくない、というのが統計の示す事実です。

統計を読むときの3つの注意点

① 黒字・赤字は法人税の申告ベース

ここでいう黒字は「利益計上法人」、赤字は「欠損法人」——法人税の申告所得がプラスかマイナスかの区分です。役員報酬を取った後の数字なので、「会社は赤字でも、役員報酬はしっかり取れている」という会社も赤字側に含まれます。

② 平均申告所得は「黒字法人だけ」の平均

表の平均申告所得は、黒字法人だけを母集団とした平均です。しかも平均値は一部の高所得法人の影響を受けやすいため、高めに出ます。「黒字だけど平均に届かない」ことを気にする必要はありません。

③ 割合は規模でも変わる

資本金が大きい階級ほど黒字割合は上がる傾向があります(全業種で、資本金2,000万円超〜5,000万円以下では約53%)。事業が軌道に乗り、規模が大きくなるほど黒字が定着していく、という自然な姿が統計にも表れています。

赤字の年にやっておくべきこと

赤字そのものを問題視する必要はありません。重要なのは、その理由を数字で説明できることです。その上で、実務的には次の3つを整えておきましょう。

  1. 正確な申告と帳簿の保存を続ける——赤字は翌期以降の黒字と相殺して税負担を減らせる制度(繰越欠損金)があります。正確な申告が続いていることが前提であり、赤字の年の申告の質が、将来の節税の質を決めます。
  2. 消費税・源泉所得税は別物と心得る——損益と関係なく納税義務は動きます。「赤字だから税務は何もない」とはなりません。
  3. 赤字の原因を切り分ける——粗利なのか、固定費なのか、役員報酬の設定なのか。ここが特定できると、翌期にやることが具体的になります。

黒字の年に考えるべきこと

黒字化した後の論点は「稼ぐ」から「残す・備える」に移ります。税負担を意識して利益を薄くしすぎる決算は、税金と一緒に手元資金と金融機関からの評価も薄くします。黒字を継続して積み重ねることは、金融機関や取引先からの信用につながります。税負担だけでなく、将来の資金調達も含めて利益水準を設計することが大切です。利益がさらに大きくなれば、役員報酬・退職金による法人と個人のバランス、そして将来の事業承継まで、視野に入れる論点は広がっていきます。

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プロゴ税理士事務所 税理士。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の経験からの複眼的な視点が強み。

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