交際費の平均はいくら?業種別・中小企業のリアル【元国税調査官が解説】

「うちの交際費、同業と比べて多いのか少ないのか」——顧問先からよくいただく質問ですが、実は公的な答えがあります。国税庁が毎年公表している「会社標本調査」です。この記事では、令和6年度分の統計から中小企業(資本金1,000万円以下)の交際費のリアルな平均額を業種別に紹介し、あわせて元国税調査官の立場から、税務調査で交際費のどこが見られるのかを解説します。
業種別・1社あたりの年間交際費(資本金1,000万円以下)
国税庁「会社標本調査(令和6年度分)」から、資本金1,000万円以下の法人について、交際費等を支出している会社1社あたりの年間支出額を業種別にまとめると次のとおりです。
| 業種 | 黒字法人の平均 | 赤字法人の平均 |
|---|---|---|
| 建設業 | 222万円 | 131万円 |
| 卸売業 | 180万円 | 84万円 |
| 小売業 | 131万円 | 67万円 |
| 料理・飲食業 | 171万円 | 101万円 |
| 不動産業 | 131万円 | 81万円 |
| 運輸・通信業 | 191万円 | 115万円 |
| サービス業 | 165万円 | 99万円 |
| 全業種 | 169万円 | 96万円 |
出典:国税庁「会社標本調査(令和6年度分)」第2表・第6表より当事務所作成。交際費等を支出している法人1社あたりの平均額です。
ざっくり言えば、中小企業の交際費は年間100万〜200万円程度、月にすると10万〜15万円前後が「統計上の平均」です。そして黒字法人は赤字法人の1.7倍ほど交際費を使っている、という傾向もはっきり出ています。
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この「平均」を見るときの3つの注意点
① 支出ゼロの会社は含まれていない
上の平均は「交際費等の支出がある法人」だけで計算しています。実際には、同じ規模の会社でも交際費ゼロの会社が1〜3割程度あります。交際費が少ないこと・ないことは、まったく問題ではありません。
② 平均は「高め」に出る
交際費の分布は偏っており、一部に多額の支出をする会社があるため、平均値はそちらに引っ張られます。「平均より少ない」会社のほうが数としては多い、と考えておくのが実態に近い見方です。
③ 適正水準は業種・営業スタイルで大きく違う
接待で仕事が動く業種と、広告で集客する業種では、交際費の「あるべき水準」はまったく違います。平均との比較はあくまで一つの目安です。
交際費のルールも一緒に押さえておく
中小法人(資本金1億円以下)の交際費には、損金算入の上限があります。
- 年間800万円までの定額控除と接待飲食費の50%のいずれか有利な方を選択(租税特別措置法61条の4)
- 1人あたり1万円以下の飲食費は、年月日・参加者・人数などの記録を残せば交際費等から除外できます(令和6年4月1日以後の支出分。改正前は5,000円)
多くの中小企業は年間800万円に届かないため「全額損金にできる」印象がありますが、1万円基準の記録要件を満たしていないと、飲食費を交際費等から除外していた処理が崩れることがあります。
元国税調査官の視点:調査で見られるのは「金額」ではない
私は東京国税局で15年、調査の現場にいました。その経験から言うと、調査官は交際費を「同業平均より多いか」では見ていません。統計上の位置と調査選定は別物です。実際に調査で確認していたのは、次の3つです。
- 誰と・何のための支出か——レシートや領収書に相手先・目的のメモが残っているか
- 役員個人の支出が混ざっていないか——私的な飲食や贈答が役員への経済的利益と判断されると、役員賞与と認定される可能性があります
- 1万円基準の記録——飲食費を交際費等から除外しているなら、その要件を満たす記録があるか
つまり、重要なのは金額の多寡ではなく、「その支出が事業に必要だったと説明できるか」です。領収書に一言メモを残す習慣があるだけで、調査での説明は格段に楽になります。
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