2割特例のあとの消費税シミュレーター

2割特例が終わった次の期を、どの方式で、いつまでの届出で迎えるか

決算月と次の期の売上・仕入れを入れると、選べる方式(3割特例・簡易課税・本則課税)ごとの納付税額と、簡易課税にする届出の期限を計算します。本則課税で還付になる場合は還付額も出します。

元国税調査官の税理士が作成・監修

2割特例が使えるのは、令和8年9月30日を含む課税期間までです。

個人事業者
令和8年分まで令和9年分・10年分は3割特例も選べる
法人(9〜12月決算)
令和8年のその月の期まで例:12月決算は令和8年12月期
法人(1〜8月決算)
令和9年のその月の期まで例:3月決算は令和9年3月期

2割特例を使った次の期は、その期の申告期限までに届出を出せば、その期から簡易課税にできます。期が終わってから実際の数字で決められます。

事業者

次の期は設立から

消費税の申告期限延長届出書

法人税の申告期限の延長を受けている法人が出す届出書です。延長を受けたい期の末日までに出せば、その期から申告期限が1か月延びます。

いまの申告方法

次の期の基準期間の課税売上高法人は前々期・個人は前々年

基準期間が1年未満の法人は12か月分に換算し、個人事業者は前々年の途中で開業していても実額で選びます。基準期間に免税事業者だったときは、税込みの売上で判定します。

選んだ業種の売上だけがあるものとして計算します。ほかの業種の売上もあるときは、選んだ業種が課税売上高の75%以上なら、同じ計算で申告できます。75%に届かないときは業種ごとに分けて計算するので、税額も有利な方式も変わります。

万円

消費税がかかる売上(標準税率10%)です。

万円

仕入れや外注費、家賃(事務所)など消費税がかかるものです。給与・社会保険料・保険料は除きます。設備投資は下の欄に分けて入れます。

万円

登録番号のない相手(免税事業者・消費者など)からの仕入れで、70%控除の経過措置の対象になるものです。1万円未満でインボイスがなくても全額控除できるもの(少額特例)は、上の金額にだけ入れます。

設備投資がある場合

万円

購入した期に全額を控除するので、購入額で入れます。土地は除きます。

うち1件1,000万円以上のもの

万円

前提:売上・仕入れとも標準税率10%、課税売上割合95%以上・課税売上高5億円以下として計算し、設備投資はインボイスを保存しているものとします。軽減税率8%や輸出の売上、住宅の家賃などの非課税売上がある場合は、実際の税額が変わります。

条件を入れると、ここに結果が出ます。

次の期の申告方法と届出の段取りも、一緒に確認します。

この結果を持って無料相談する(30〜45分・無料)

オンラインでも承ります。

2割特例の最後の期と、簡易課税にする届出の期限(決算月別)

法人は決算月によって、2割特例が使える最後の期が変わります。その次の期から簡易課税にするなら、次の期の申告期限までに簡易課税制度選択届出書を出します。

決算月2割特例の最後の期次の期簡易課税の届出期限延長届出を出している法人
1月令和9年1月期令和10年1月期令和9年2月〜令和10年1月令和10年3月31日令和10年5月1日※
2月令和9年2月期令和10年2月期令和9年3月〜令和10年2月令和10年5月1日※令和10年5月31日
3月令和9年3月期令和10年3月期令和9年4月〜令和10年3月令和10年5月31日令和10年6月30日
4月令和9年4月期令和10年4月期令和9年5月〜令和10年4月令和10年6月30日令和10年7月31日
5月令和9年5月期令和10年5月期令和9年6月〜令和10年5月令和10年7月31日令和10年8月31日
6月令和9年6月期令和10年6月期令和9年7月〜令和10年6月令和10年8月31日令和10年10月2日※
7月令和9年7月期令和10年7月期令和9年8月〜令和10年7月令和10年10月2日※令和10年10月31日
8月令和9年8月期令和10年8月期令和9年9月〜令和10年8月令和10年10月31日令和10年11月30日
9月令和8年9月期令和9年9月期令和8年10月〜令和9年9月令和9年11月30日令和10年1月4日※
10月令和8年10月期令和9年10月期令和8年11月〜令和9年10月令和10年1月4日※令和10年1月31日
11月令和8年11月期令和9年11月期令和8年12月〜令和9年11月令和10年1月31日令和10年2月29日
12月令和8年12月期令和9年12月期令和9年1月〜令和9年12月令和10年2月29日令和10年3月31日

1年決算・月末決算で、最後の期に2割特例を使って申告した場合です。「延長届出を出している法人」は、法人税の申告期限の延長の特例を受けていて、消費税申告期限延長届出書も出している法人です。※は、本来の期限が土日または年末年始にあたり、翌日以後にずれた日です。

個人事業者の場合

年分選べる方式簡易課税にする届出の期限
令和8年分2割特例(最後の年)・簡易課税・本則課税—
令和9年分・10年分3割特例・簡易課税・本則課税令和9年分から簡易課税にするなら令和10年3月31日まで令和8年分に2割特例を使った場合
令和11年分から簡易課税・本則課税3割特例を令和10年分まで使ったなら令和12年4月1日まで3月31日が日曜日のため

3割特例を使えるのは、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者で、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下の年です。特定期間(前年1〜6月)の課税売上高と給与等の額がともに1,000万円を超える年、相続や本則課税の期に取得した1件1,000万円以上の資産などで免税事業者になれない年、課税期間を短縮している年は対象外です。届出は要らず、確定申告書に適用を受ける旨を書きます。

業種で変わる、3割特例と簡易課税のどちらが少ないか

3割特例は売上の消費税額の30%を納めます。簡易課税は売上の消費税額から、業種ごとのみなし仕入率の分を差し引いた残りを納めます。卸売業と小売業は簡易課税のほうが少なく、飲食店業・サービス業・不動産業は3割特例のほうが少なくなります。

事業区分みなし仕入率簡易課税で納める割合3割特例(30%)と比べると
第1種卸売業90%10%簡易課税が少ない
第2種小売業、農林水産業(飲食料品)80%20%簡易課税が少ない
第3種製造業、建設業、農林水産業(飲食料品以外)など70%30%同じ(3割特例なら届出も2年の縛りもない)
第4種飲食店業など60%40%3割特例が少ない
第5種サービス業、運輸通信業、金融・保険業50%50%3割特例が少ない
第6種不動産業40%60%3割特例が少ない

「納める割合」は売上の消費税額に対する割合です。本則課税は、実際の仕入れの消費税額で決まります。

納付税額の計算のしかた

本則課税
売上の消費税額 − 仕入れの消費税額(免税事業者などからの仕入れは70%だけ)

簡易課税
売上の消費税額 − 売上の消費税額 × みなし仕入率

3割特例・2割特例
売上の消費税額 × 30%(2割特例は20%)

売上の消費税額は、税抜の売上(千円未満切捨て)に国税の7.8%を掛けて出し、地方消費税は国税の22/78です。国税・地方消費税とも百円未満を切り捨てます(還付は1円単位)。例えば第5種・売上900万円なら、売上の消費税額(国税)は702,000円で、簡易課税は702,000円 × 50% = 351,000円を差し引いて国税351,000円・地方消費税99,000円、合計450,000円です。同じ条件で仕入れ300万円(うち免税事業者などから30万円)の本則課税は、仕入れの消費税額210,600円+16,380円を差し引いて合計608,900円です。

免税事業者などからの仕入れの控除は、令和8年10月1日から令和10年9月30日までの仕入れが70%、令和10年10月1日からは50%です。

届出の期限と、選んだあとの決まり

  • 2割特例・3割特例を使った次の期:その期の確定申告期限までに簡易課税制度選択届出書を出せば、その期から簡易課税を適用できます。届出書にはその期から適用する旨を書きます。期限が土日・祝日・年末年始にあたるときは翌日、申告期限の延長を受けている法人は延長後の期限です。消費税申告期限延長届出書は、延長を受けたい期の末日までに出せば、その期から使えます。
  • その次の期から簡易課税にするとき:申告期限まで延びるのは、2割特例・3割特例を使った期の次の期だけです。次の期を本則課税で申告して、その次の期から簡易課税にするなら、次の期の末日までに出します。
  • それ以外:簡易課税にしたい期が始まる前日までに出します。この期限は土日でも延びません。
  • 2年続ける決まり:簡易課税は原則として2年間続けて適用します。やめる届出(簡易課税制度選択不適用届出書)を出せるのは、適用を始めた期の初日から2年を過ぎる日を含む期の初日以後です。すでに選択届出書を出している場合は、その効力が続きます。
  • 1件1,000万円以上(税抜)の資産:棚卸資産も含みます。本則課税の期に取得すると、その期を含む3年間は本則課税で申告します(免税事業者に戻れず、簡易課税制度選択届出書も出せません)。
  • 住宅として貸す建物:1件1,000万円以上の居住用賃貸建物の消費税は、本則課税でも仕入税額控除の対象外です。
  • 業種が複数あるとき:簡易課税は業種ごとのみなし仕入率で計算します。1つの業種が課税売上高の75%以上なら、その業種のみなし仕入率を全体に使えます。

元国税調査官の視点

税務署に確かめられやすいところ

  • 事業区分:簡易課税では、売上ごとに第何種にあたるかが納付税額を左右します。業種ごとに売上を帳簿で分けておきます。
  • 還付申告:還付申告には「消費税の還付申告に関する明細書」を添付します。税務署は必要と認めるとき、還付をいったん保留して、契約書や請求書など取引の内容が分かる書類の提出を求めます。
  • 7割控除の記載:免税事業者などからの仕入れを7割控除するには、帳簿に「7割控除」など経過措置の適用を受ける旨を書き、区分記載請求書等と同じ記載事項の請求書等を保存します。調査では帳簿の記載まで確かめます。
  • 届出の控え:延長後の期限で届出を出すときは、消費税申告期限延長届出書がその期に効いていることが前提です。届出書の控えをそろえておきます。控えが見当たらないときは、税務署の申告書等閲覧サービスで、過去に出した届出書を確かめられます。

根拠:消費税法9条の2第1項・30条10項・37条1項・3項・6項・12条の4第1項・45条の2第1項、消費税法施行令57条3項、平成28年改正法附則51条の2第6項・51条の3第1項・5項・52条・53条・53条の2、国税通則法10条2項、消費税法基本通達1-4-5、国税庁「インボイス制度に関するお知らせ(令和8年度税制改正特集)」・インボイスQ&A 問115-2・問117・「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」・「申告書等閲覧サービスの実施について」

簡易課税と本則課税のどちらで申告するか、届出の時期とあわせて元国税調査官の税理士がご一緒に整理します。初回相談は無料、オンラインでも承ります。