海外取引(源泉・条約)

非居住者への支払いは、国内税法だけでなく、租税条約、相手方の属性(個人/法人)、支払内容(役務、ロイヤリティ、コミッション等)、役務提供地、国内での活動実態(PEの有無)などが絡み、“同じ海外取引でも結論が分かれる”のが特徴です。
当事務所では、日本企業の支払者側の立場で、源泉徴収の要否判定から、租税条約に基づく届出(軽減・免除手続)、社内運用ルール整備までを支援します。「処理は経理で回したいが、判断だけ専門家に確認したい」というニーズにも対応可能です。
よくあるお悩み(支払者側で“事故”が起きやすいポイント)
- 海外フリーランス(デザイナー、エンジニア、マーケター等)に報酬を払うが、源泉徴収が必要か分からない
- 海外法人(開発会社、制作会社、代理店等)への支払いで、租税条約の届出が必要か判断できない
- 契約書の書き方(役務の範囲、成果物、対価の内訳)が税務上まずい気がする
- 海外への支払いが増えてきたので、社内の運用(経理処理・証憑・チェックフロー)を整えたい
- 「源泉が必要だった」と後から分かった場合の追加対応(追徴・ペナルティ)を最小化したい
支払者側が押さえるべき基本(なぜ難しいのか)
非居住者(海外の個人・海外法人)への支払いは、次の要素の組合せで結論が変わります。
1)支払内容の性質(何の対価か)
同じ「海外へ外注費」でも、実態が役務なのか、ロイヤリティなのか、コミッションなのか等で取り扱いが分かれます。契約書・請求書の文言だけでなく、実際の提供内容が重要です。
2)役務提供地・国内での活動実態
海外で完結して提供される役務なのか、日本国内での稼働が含まれるのか、国内に事業所や代理人等(いわゆるPEに関係する事情)があるのかで整理が分かれます。
3)租税条約(軽減・免除)と届出手続
国内法上は源泉徴収が必要でも、租税条約により税率が軽減されたり免除されたりする場合があります。ただし、条約の適用は手続(届出書類の提出)が前提になることが多く、運用設計が重要です。
当事務所のサポート内容(支払者側に特化)
1)源泉徴収の要否判定(実態・契約・支払フローまで踏み込んだ整理)
- 支払内容の整理(役務/ロイヤリティ/コミッション等の論点整理)
- 役務提供地・国内関与の確認ポイントの提示
- 源泉徴収が必要となる可能性がある場合の、実務上の対応案(契約・請求・支払フロー)
- 判断の根拠・留意点を、社内で共有できる形で整理(メモ化)
2)租税条約に基づく軽減・免除の届出支援
- 租税条約適用の可否の整理(相手国・支払内容・必要書類の確認)
- 届出書類の作成支援(必要に応じて)
- 提出タイミング・保管方法・更新管理の整備
このサービスが向いている会社(典型例)
- 海外の開発会社・制作会社に外注費を支払っている(これから支払う)
- 海外フリーランスへ継続的に報酬を支払っている
- 海外代理店・海外インフルエンサー等へコミッションを支払う
- ソフトウェア利用料、コンテンツ利用料等、ロイヤリティ性のある支払いがある
- 海外取引が増え、経理処理を標準化したい
ご相談の進め方(最短で結論に近づけるために)
支払先の国、支払内容、支払予定時期、契約形態(個人/法人)など、分かる範囲でお知らせください。オンライン面談にも対応しています。
一般的には、次の資料があると整理がスムーズです。
・契約書(ドラフトでも可)/発注書/業務内容が分かる資料
・請求書・見積書(支払の名目・内訳が分かるもの)
・相手方情報(個人か法人か、所在地国、可能なら居住者証明等)
・役務提供の実態が分かる情報(作業場所、国内稼働の有無、納品物等)
・支払スケジュール(初回支払日、頻度、金額レンジ)
お伺いした情報と資料に基づき、源泉徴収の要否・条約届出の要否・運用上の留意点を整理し、実務に落とせる対応方針をご提案します。
必要に応じて、届出書類の作成支援、提出スケジュール管理、社内チェックフロー整備までサポートします。
料金の考え方(目安の出し方)
料金は、支払先の数、契約類型の数、支払内容の複雑さ(役務の範囲、ロイヤリティ性の有無、国内稼働の有無、条約手続の要否)などにより変動します。
- スポット(判定・方針整理):1契約・1支払先を前提に、論点整理と実務方針の提示
- 届出・運用整備まで:条約届出や社内フロー整備を含め、継続的に事故を防ぐ仕組みづくり
- 継続顧問:海外支払いが複数あり、契約更新や支払増加がある場合の継続サポート
ご状況を伺ったうえで、想定工数と成果物(範囲)を明示してお見積りします。
当事務所が選ばれる理由
元・国税の視点で「指摘されやすいポイント」を先回りして整理
源泉徴収や条約手続は、形式だけ揃えても、実態・契約・証憑が噛み合っていないと説明が崩れます。税務当局がどこを見てくるかを踏まえ、支払者側として説明が立つ形に落とし込みます。
相談実務の蓄積(複雑な論点を“社内で使える言葉”に翻訳)
国際取引の税務は、現場(経理・法務・事業部)が運用できる形にすることが重要です。判断の結論だけでなく、「なぜそう整理するのか」「どこがリスクなのか」を共有しやすい形で提示します。
よくある質問(FAQ)
Q. 「海外へ支払う」場合、源泉徴収は必ず必要ですか?
A. いいえ。支払内容の性質、役務提供地、国内での活動実態、相手方の属性(個人/法人)等により結論は分かれます。まずは取引の実態に即して整理することが重要です。
Q. 租税条約で免除できるなら、源泉徴収は不要ですか?
A. 条約適用により軽減・免除される場合がありますが、実務上は届出手続や必要書類の提出が前提となるケースが多く、手続の設計が重要です。
Q. 契約書の文言だけ整えれば大丈夫ですか?
A. 文言は重要ですが、最終的には実態(どこで・何を・どう提供しているか)との整合が必要です。契約・請求・納品・支払の一連の流れで説明が立つ形に整えるのがおすすめです。
Q. 海外取引が増えてきました。まず何から手を付けるべきですか?
A. まずは「支払先の国」「支払内容の類型」「国内稼働の有無」「契約書の有無」を棚卸しし、源泉徴収や条約届出が必要になり得る取引を抽出するのが早道です。当事務所では、棚卸し用のチェック観点から整理します。
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