【2025年最新版】AI税務調査で「お尋ね」が急増中?元国税OBが教える「行政指導」の裏側と正しい対処法

「税務署から『お尋ね』の封筒が届いた」
「AI税務調査が怖い」
「AIが導入されて、税務調査が厳しくなったって本当?」
ある日突然、税務署から連絡が来たら、誰でも不安になるものです。特に最近はニュースなどで「税務行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)」や「AI活用」が話題になっており、漠然とした恐怖を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、まず落ち着いてください。税務署からの連絡すべてが、いわゆる「税務調査」というわけではありません。実は今、最新のAIやデータ分析システムの導入により、税務署の戦略は劇的に変化しています。いきなり家に押しかける実地調査ではなく、ピンポイントで電話や文書を送る「簡易な接触」が急増しているのです。
この記事では、元国税調査官の私が、「AI時代の最新税務調査」の実態と、損をしないための「正しい対処法」を解説します。
1. コロナ禍以降、実地調査よりも「簡易な接触」が急増している
まずは現状を知ることで、不安を整理しましょう。
かつて税務署といえば、調査官が現地に赴いて帳簿をひっくり返す「実地調査」が主流でした。しかし、コロナ禍を経てそのトレンドは激変しています。
最新の国税庁のデータを見ると、実は実地調査の件数はコロナ前の水準に戻りきっていません。その代わり、電話や文書、短時間の来署依頼で済ませる「簡易な接触」の件数が、コロナ前の倍近くにまで増加しているのです。
AI活用で「効率化」が進んでいる
なぜ「簡易な接触」が増えているのでしょうか? それは、国税当局がAIやデータ分析ツール(内部の選定システム等)を活用し、「効率的な選定」を行っているからです。
これまでは、ベテラン選定担当者が、過去3〜5年分の決算数値(売上・仕入・人件費・棚卸・借入・外注など)や過去の調査状況・タレコミ情報などを横並びで分析し、業種ごとの動向・局方針を踏まえ選定していました。しかし、現在は、AIを用いた膨大なデータからスコアリング・リスク判定を行う仕組みが導入されています。膨大なデータから「申告漏れの可能性が高い人」をAIが抽出します。そして、確度が高い相手に対して、まずはコストのかからない文書や電話で「ここ間違っていませんか?」と指摘する手法(行政指導)へシフトしているのです。
つまり、あなたへの連絡は「本格的な調査」ではなく、このAI選定による「簡易な接触」である可能性が十分にあります。
2. 「税務調査」と「行政指導」は何が違うのか?
税務署からのアクションは、大きく分けて「税務調査」と「行政指導」の2つがあります。この違いを理解することが、対応の第一歩です。
① 税務調査(質問検査権に基づく調査)
- 法的拘束力: 間接強制(受忍義務がある)
- 内容: 原則として事前通知があり、帳簿書類などを網羅的にチェックされます
- ペナルティ: 誤りが見つかった場合、原則として「加算税(罰金)」が課されます
② 行政指導(簡易な接触)
- 法的拘束力: 原則なし(任意の協力要請)
- 内容: 文書や電話で、「計算間違いの修正」や「申告内容の確認」を求められます
- ペナルティ: 調査に移行する前に、自主的に修正すれば、原則として加算税がかからない、あるいは軽減される取扱いが用意されています(内容や時期によって異なります)。
【重要】職員には「明示義務」がある
ここが一番のポイントです。
税務署の職員は、連絡の際に「これは税務調査なのか、行政指導なのか」を説明することとされています。
もし税務署から電話がかかってきたら、動揺せずにこう聞いてください。 「これは税務調査ですか? それとも行政指導ですか?」これを確認するだけで、相手の対応スタンスも明確になりますし、ご自身の心の準備もまったく変わってきます。
3. 「お尋ね」を無視し続けるとどうなる?(最悪のシナリオ)
「行政指導なら、任意だし放っておけばいいや」そう考えるのが一番危険です。
現在、税務署内には「行政指導の手順を定めたマニュアル」があり、案件にもよりますが、おおむね次のような流れで対応が進みます。
- 1回目の接触: 文書などで「見直し・確認」の依頼が届く(まだ優しい対応)
- 反応なし(約2週間後): 2回目の接触(再依頼)が行われる
- さらに無視: 「調査」へ移行
つまり、最初は優しい「行政指導」だったものが、無視を決め込むことで本格的な「税務調査(実地調査)」に格上げされてしまうのです。
調査に移行してから誤りを指摘されると、本来払わなくて済んだはずの「加算税」などのペナルティが重くのしかかります。
「忙しいから」と後回しにして無視をし続けることが、結果的に一番損をする選択になります。
4. なぜバレる? 元国税調査官が教える「AI選定」の裏側
「うちは売上規模も小さいし、バレないだろう」と思っていませんか? 私が国税の現場にいた頃と比べても、現在の税務署のDX(デジタルトランスフォーメーション)は凄まじいスピードで進化しています。
KSK2とAI分析
国税庁は現在、次世代システム(KSK2)への移行を進めており、AI(人工知能)を活用した分析を本格化させています。具体的には、提出された申告書データ、法定調書、海外からの情報(CRS)など、さまざまなデータを組み合わせて分析しし、「見込追徴税額」や「リスクスコア」を自動的に判定しています。
狙われやすいポイント
特に最近のトレンドとして、デジタルデータで捕捉されやすい以下の領域は重点的にチェックされています。
- 暗号資産(仮想通貨): 取引所からのデータ照合
- 副業・シェアリングエコノミー: プラットフォームを通じた収入
- 海外資産: 富裕層の海外送金や口座情報(CRS情報など)
「たまたま運が悪くて連絡が来た」のではなく、「AIが異常値を検知したから連絡が来た」と考えるべきです。適当な回答をしてごまかそうとしても、当局はすでに裏付けとなるデータを持っている可能性が高いのです。
5. 税務署から連絡が来た時の「正しい対応 3ステップ」
では、実際に「お尋ね」が届いたり、電話が鳴ったりした時はどうすればよいのでしょうか。
元調査官の視点で、損をしないための3ステップをアドバイスします。
ステップ1:まずは内容の確認(パニックにならない)
電話であれば、相手の所属・氏名を聞き、前述の通り「これは行政指導ですか?」と確認してください。
文書であれば、開封して中身を確認します。「何について聞かれているのか(売上のズレ?経費の内容?)」を把握しましょう。
ステップ2:資料の準備と事実確認
記憶だけで即答するのは危険です。
「確認して折り返します」と伝え、過去の申告書、通帳、請求書、領収書などを引っ張り出してください。特に最近は、調査着手前にCSVデータ(会計データ)の提出を求められるケースも増えていますが、これは事実上の「調査の一部(質問検査権の行使)」とみなされる重要な行為です。安易にデータを渡す前に、専門家に見てもらうことを強くおすすめします。
ステップ3:専門家(税理士)への相談
もし、「計算ミスをしていた」「個人的な経費を入れてしまっていた」などの心当たりがある場合、あるいは「なぜ連絡が来たのか見当がつかない」場合は、税務署に回答する前に税理士へ相談してください。
自分ひとりで対応して、余計なことを話してしまったり、間違った修正申告をしてしまったりすると、後から取り返しがつかないことになります。「行政指導」の段階で、プロの手を借りて適切に処理を済ませることが、時間的にも金銭的にも最もダメージを少なくする方法です。
まとめ:連絡は「早期解決」のチャンス
税務署からの連絡は怖いものですが、見方を変えれば「大きな火傷(重加算税など)をする前に、ボヤのうちに消すチャンス」をくれているとも言えます。
プロゴ税理士事務所の代表である私は、国税局での実務経験と、最新の調査手法をキャッチアップしています。「調査官がどこを見るか」などあなたの状況に合わせた最適なアドバイスが可能です。
「お尋ね」が届いて不安な方、税務調査の連絡が来てどうしていいかわからない方は、一人で悩まず、まずは一度ご相談ください。あなたのビジネスと財産を守るために、全力でサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 税務署からの「お尋ね」は無視しても大丈夫ですか?
おすすめできません。最初は任意の行政指導でも、繰り返し無視をすると、本格的な税務調査に移行するリスクが高まります。結果として、加算税などのペナルティが重くなることも少なくありません。
Q2. 「お尋ね」が来たら、必ず税務調査になるのでしょうか?
いいえ、必ずしもそうではありません。多くの場合は、書類の提出や計算の見直しで完了します。ただし、回答内容や提出資料の内容によっては、税務調査に発展することもありますので、回答前に一度専門家のチェックを受けておくと安心です。
Q3. 税務署からの連絡が「調査」なのか「行政指導」なのか分からない場合は?
電話や来署の依頼があった際には、遠慮なく「これは税務調査ですか?それとも行政指導ですか?」と確認してください。相手のスタンスを確認したうえで、必要に応じて税理士に同席や相談を依頼するのが安全です。









